数珠に使われている素材 天然石
琥珀(ロシア琥珀)
琥珀とは樹脂が長い年月をかけて固化した宝石です。
元となる樹木の、広葉樹や針葉樹による種類の違いや、時代や産地といった要因によって色や透明度が異なります黄色系のものが数多く流通していますが、白や青など、実際には多数の色が存在するといわれています。
ロシア琥珀は、針葉樹等の木の樹脂が約4000万年前より化石化したもので、本品はバトル海沿岸のロシア・リトアニア産です。
虎琥珀
こちらは中国の撫順(ぶじゅん)地方から産出する琥珀です。こちらも約4000万年前のもので、バトル海産と同じ時期です。
その特徴は黒や赤などの色が入り混じり、多様な模様を作り出していることにあります。
それは化石化する過程で植物の葉や石炭などの異物が混入してできたものだろうといわれ、琥珀の中でも大変希少価値が高い商品です。
ラピスラズリ
アフガニスタン産。世界でも限られた地方でしか算出されない宝石です。
ラズライト(青金石)、ソーダライトなどの複数の鉱物により構成され、深い青色は夜空をイメージさせます。
特徴的な黄色い斑点は、バイライト(黄鉄鉱)という鉱物を含むためで、まるで夜空を彩る星のように輝きを演出しています。
日本では昔から瑠璃(るり)として知られ、天皇をはじめ上流階級のごく一部が僅かに所有するのみでした。
赤苔瑪瑙
メノウの仲間で、その中に濃色のインクルージョン(内容物)を含むものです。
モスアゲートとも呼ばれブラジル産です。
瑪瑙
瑪瑙はアゲートとも呼ばれています。ブラジル、ドイツ、チェコのボヘミア地方で多くとれ、日本でも北海道、石川県、富山県などに産しており、七宝の一つに数えられています。七宝=金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、シャコ、珊瑚、瑪瑙(メノウ)
縞瑪瑙
平行な縞状模様があるものを縞瑪瑙といいます。
蛋白石質と石英質の部分が交互に配列するため縞状に見え、黒色と白色がきれいに層状になっているものは、古くからカメオ細工の材料としても用いられています。
虎眼石
虎眼石は、表面に虎の目のような輝きが見られることからその名がつけられました。
この現象はシャトヤンシー効果と呼ばれ、結晶内部に並行に配列された繊維状組織からの光の反射によるものです。
繊維状組織であるクロシドライという鉱石の本来の色は青色であり、これを紺虎眼石といいます。一般に虎眼石といわれるものは、それが酸化することで青色から黄色に変色したものです。
そして、加熱処理を加えさらに酸化を進めることで赤色に変色したものを赤虎眼石と呼んでいるのです。
孔雀石
鉱物銘、マカライト。
鉱物中に同の成分を多く含むため、鮮やかな緑色を発すること、またカットしたときに現れる独特の縞模様が大きな特徴です。
孔雀石という和名は、石の模様が孔雀の羽模様に似ていたことに由来しています。
古くは粉末状にして岩絵の具としても使用されておりエジプトのクレオパトラがアイシャドウとして使用していたともいわれています。
産地はコンゴ・ロシア・オーストラリア等。
金綿水晶(ルチル・クォーツ)
金色の線状の物質は、ルチル(金紅石)と呼ばれる酸化チタンの一種で、それを内包している水晶です。
本来、水晶は自然環境下においてその内部に様々な物質を含むことが多く、例えばトルマリンを含めばトルマリン・クォーツとなりますが、その中でも最も有名なものが、この金銭水晶(ルチル・クォーツ)といえるでしょう。
たんにルチル、あるいはルチルレイテッド・クォーツと呼ばれることもあります。
ブラジル、マダガスカル等で産出。
ガーネット
英名のgarnet(ガーネット)は”種子”を意味するラテン語に由来しており、和名では色や形から柘榴(ざくろ)石と呼ばれます。
ダイヤモンドと同じような高温、高圧という環境下で形成されることから、ダイヤモンドとガーネットは一緒に見つかることもあるそうです。
12面体か24面体に結晶し、整た形状を持つことから、光の屈折率に優れた鉱物です。
古来よりその美しさから世界中の王侯貴族より宝飾品として愛用されてきました。
旧約聖書では大洪水の暗闇の中、ノアが箱船を操縦する際、灯りの代わりにガーネットをつるしたといわれる伝説もあります。
インド、ブラジル、スリランカ、タンザニア、マダガスカル等から産出されます。
ローズアメジスト
宝石の種類としては紫水晶にあたり、その中でも明るく、かつ淡い色合いの紫水晶をローズアメジストと呼んでいます。
その美しい藤色は、透明度が高く、曇りがないのが特徴です。
数珠に使われている素材 木玉
沈香
沈香は、インド、東南アジア地方に分布する沈丁花(じんちょうげ)科アキラリア属の樹木からとれる香木です。
しかし香木になる原木自体には香りはありません。
原木は風雨や害虫等の様々な要因によりダメージを受けると、内部に樹脂を分泌しそれ以上の腐敗を食い止めようとします。
そうして樹脂が長い年月をかけて蓄積されることで、ようやく沈香となるのです。
その香りは産地や時代によって複雑に異なります。
産出量は減少しており、年々価値が高まっています。
本品は貴重な沈降を惜しみなく使用して作られています。
羅漢彫
乾燥させた桃のみにお釈迦様の弟子である、羅漢を彫ったものです。
羅漢は、釈迦入滅後の仏教を指導し、教えを広めるために尽力した高僧です。
釈迦の高弟である16人の羅漢は十六羅漢、入滅後の仏典の結集に集まった500人の弟子は五百羅漢と呼ばれています。
構成になり、信仰の対象となると、多くの像が作成されました。
1つの玉の中には4〜7人ほどの羅漢像を彫りこんでおり、彫りが細かく緻密なほど高価になります。
虎眼・龍眼・鳳眼菩提樹
ネパール産の菩提樹の実。
龍眼、虎眼は四葉のクローバーのように鳳眼の変種としてできたものです。
それぞれ紡錘形は鳳凰の目に、三角形は龍の目に、四角形は虎の目のように見えることから名づけられました。虎眼>龍眼>鳳眼の順に効果になります。
星月菩提樹
金剛菩提樹とならんで最も有名な菩提樹の実です。
黒い小さな斑点が星を、クレーターのようにへこんだ部分が月を連想させるところから「星月」と名付けられました。
10〜11mm以下の玉は中国の海南島産、22玉片手や18玉片手に使う12mm以上の玉はベトナム産が主流です。
使い込むほど、飴色になり風合いが増していきます。
金剛菩提樹
金剛菩提樹はホルトノキ科のジュズボダイジュといわれる樹木で、その種子はインドではルドラクシャと呼ばれ、大切にされています。
それは、ヒンドゥー教の3最高神の1神である、シヴァに由来されるそうです。
そのため、現在でも僧侶をはじめ多くの一般もその力を信じて身に着けているのです。
また通常、商業的に用いられる鉱物や種子などは、小さい方が安価な場合が多いのですが、この金剛菩提樹は男性用の片手に用いる大きさが一番多く採れるため、ブレスなどの小さな玉にする場合、逆に高価になるという特徴があります。
素挽きとは
木玉は、仕上げの高弟で塗布する仕上剤(ワックスやヤニ等)によって、通常のツヤだし仕上げと、ツヤ消し仕上げ(素挽き仕上げ)に分けられます。
素挽き仕上げは通常のツヤだし仕上げに比べ、質感や木目を残すことができるため、その気が持つ風合いをより自然に感じることができます。
しかしその分、品質的に誤魔化しがきかないため歩留まりが悪くなり、やや高価になります。
数珠に使われている素材 その他の素材
真珠
約4000年もの昔より宝石として珍重され、日本では古事記や万葉集等にもその記述を見ることができます。
20世紀初めに世界で初めて養殖事業に成功して以来、日本の真珠の品質は世界中で高い評価を受け、各国で取引されています。
我が国の多くの養殖真珠は、アヤコ貝に施術しそれを養殖して真珠を形成させるというもので、愛媛、三重、長崎、熊本の4件を中心に生産されています。
本品は愛媛県宇和島産、熊本県天草産の優雅なツヤを持ったものを使用しています。
珊瑚
古来より宝石とされてきたものは、深海から採取される珊瑚のことであり、いわゆる「サンゴ礁」の珊瑚とは異なります。
深海珊瑚はミッドウェー海域の水深約1000mの海底に生息している動物です。
その成長は大変遅く、わずか数cm成長するのに何十年を要するものもあるといわれています。
一般的に色の濃いものが好まれる傾向にあり、また希少性の高さから高価になります。最も貴重な品種は、世界中でも高知県土佐沖でしか採取されない「血潮珊瑚」という、正に血のような濃赤色をした種類です。
ところで、珊瑚は鬼退治で有名な「桃太郎」にも登場しています。
桃太郎が鬼ヶ島から持ち帰った戦利品は「金銀珊瑚綾錦」とされ、そこでは金・銀に次ぐ財宝として描かれたのです。
まさに、珊瑚は自然が育てた貴重な宝石といえるでしょう。
象牙
象牙は近年、その価値の高さから乱獲や狩猟が続き、ワシントン条約によって国際間取引の禁止措置が取られており、非常に希少な材料となっています。
現在では、厳重な規制や保護によって個体数は次第に増加の傾向にありこうした背景を受けて厳格な管理の下で限定的な輸出解禁が行われています。
象牙には、独特の肌触りと風合い、また象牙だけが美しい縞模様といった特徴があり、また工芸品への加工に適した密度や高度を持つことから古来より世界中で珍重されてきました。
本品は、貴重な象牙を京都の職人が一玉一玉を丁寧につないで作られた価値のある逸品です。